ハッピーシュガーライフ(アニメ)の感想(ネタバレなし)

長くなってしまったので伝えたいことだけ先に書くと

  • しょうこちゃんかわいい
  • ジャンルはサスペンスとミステリーの中間、甘いのと暗いのが半々
  • 百合かどうかは人によって分かれる
  • ストーリーの構成、完成度が非常に高く満足
  • 読後感は最高だったが、キャラクターに感情移入するとつらくなる
  • キスをちゃんと描いてくれるのが好き
  • 考えるのが好きな人にはお勧め、かも
  • 深追いするとつまらなくなるので、あんまり期待しないでね

です!

ネタバレあり版も書きました。

siratama-z.hatenablog.com

 

 


 

私がハッピーシュガーライフを知ったきっかけ

 私がハッピーシュガーライフを知ったのはつい最近、次のツイートがTLで流れてきて初めてその名前を知りました。

 私はオタク界隈の人間ではあると思うのですが、アニメを見ることはかなり稀です。ハッピーシュガーライフもアニメは2年前、原作も既に完結しているのに、その作品名には全く記憶にありませんでした。

 前述のツイートでは、ハッピーシュガーライフは「女子高生と女子小学生の監禁百合ライフ」として紹介されていました。この中で私が最も興味を惹かれたのは、「監禁」の文字でした。作品名である「ハッピーシュガーライフ」からは想像もできない「監禁」という文字と、「発想が病気」として取り上げられている事実から、どのようなストーリーなのか、興味がわきました。

 「監禁」という言葉で真っ先に思い出すのが、「新潟少女監禁事件」です。私も記憶にある事件であり、またWikipediaやいくつかの本も読みました。当時から私は「監禁」に興味があったわけですが、最も興味があるのは「子供を監禁して、かつ自然な生活を送ることができるのか」ということです。一般常識からすれば、それは成功するはずがない、ということは理解しているつもりです。この事件は日本の監禁事件としてはかなり有名な事件ですが、悲惨な生活環境、監禁状況であり、人として許されるものではなかったということです。またこの手の話になると出てくる「ストックホルム症候群」という概念がありますが、理想の監禁(??)としては不要な要素であるとも思っています。自然な生活とは言いがたいでしょう。つまり私が興味があったのは「監禁される側の心に傷を負わずに監禁できるか」ということでした。

 すみませんどうでもよい話をつらつら書きましたが、そんなわけでハッピーシュガーライフに興味をもちました。とりあえずネタバレを避けつつWikipediaを流し読みしてみると、公式としてのキャッチフレーズは「戦慄の純愛サイコホラー」とのこと。私は感受性が乏しいので、ふーんって感じでした。この文字を見ても何の想像も働かないので、マイナスではないけどプラスでもない、そこまで期待するものではないかと思っていました。

 とはいえ、久しぶりに私の心が動いた作品だったので、一度見てみようと思いました。既に原作もアニメも完結しているため、私にはどちらを先に見るかの選択肢がありましたが、アニメの場合は1話が無料で見られるということもあり、とりあえずニコニコ動画で1話を見てみることにしました。(コメントが××なので悩ましい)

1話を見てみた

 1話の冒頭は次の言葉で始まっています。

私は知らなかった
温もりとはどんな感じがするのか
優しさとはどういうものなのか
慈しみとは何なのか
そして何よりも
愛というものが
私には理解できなかった

でも
今ならわかる
愛とは
ようやくその本当の意味を
私は知ることができたんだ

…随分と挑戦的な作品だ」と思いました。つまり「この作品で本当の愛とは何かを教えてやろう」と、そう言っているように聞こえました。かなり大胆な、しかしこれ以上ないつかみだと思いました。つまりこの作品にはストーリーがあり、結末があり、テーマは「愛」だと、親切にもそう宣言をしてくれているのです。

 私個人の話で言えば、愛について考えたことがないわけではないが、愛を説明する言葉は皆目見当がつかない、そんな状態です。愛と言えばアガペー愛という言葉を聞きますが、果たしてそんな教科書的な結論を持ち出してくるのか、それとも作者独自の解釈を示してくれるのか、それとも…

 というわけで、まあ正直1話の冒頭を見た段階でそこまで考えていたわけではないですが、1話を見ました。当時1話を見た感想を思い出して適当に書くとこんな感じです。

  • OPがちょっとこわい(特にしおちゃんを両手でいじいじしてるところ)
  • しょうこちゃんかわいい!
  • しょうこちゃんえっち!
  • しおちゃんの声優さんすごい(CV:久野美咲
  • さとちゃんこわい(でもふとももがえっち)
  • EDが非常によい(SWEET HURT | ReoNa)

 とりあえず軽く書くとこんな感じで、とにかくしょうこちゃんがかわいい(譲れない想い)

 …ここで「監禁」という言葉を思い出す。1話でさとうとしおちゃんの生活が描かれているが、表面上はお互いが幸せかのように描かれているように見えるが、さとうの独善的な思考が見え隠れしている。その気持ち悪さはOPの次のシーンでも感じた。

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ハッピーシュガーライフOPより

 そう感じた1話ですが、これは私に都合のよい言い方をすれば「予想通り」ということで、ちょっと安心したのを覚えています。これは間違いなく世間一般でいうところの「監禁」であり、それは成功するはずがない、という私の前提に反しなかったからです。つまり第2話以降、この不自然な生活がどのように変化し、どのような結末を迎えるのかにさらに興味を惹かれ、全話視聴することを決めました。

 1話を見るだけでも、アニメとしての構成、品質が非常に高いことが分かりました。もしかして最近のアニメはみんな高品質なのか…?ともかくよい作品と出会えたかもしれない、と思いました。

 「かもしれない」というのは、この時点ではよくても、変化の過程や結末が納得のいくものでなければ、その瞬間に私が作品全体をゴミと判断してしまうかもしれない、という危うさも感じていたからです。それでもその先を読み進めようと思うための原動力は、作者への信頼であると思っています。例えば1クールのアニメを6話で切る、みたいな話は割とありますが、それは「作者への信頼」がない、または、6話までで「作者への信頼」を築けなかったことに起因すると思います。その作者の作品を初めて読んで、その作者を信頼することは非常に難しいことだと思います。返す刀で、私がハッピーシュガーライフの作者である鍵空とみやき先生のことを知らず、その作品に初めて触れたという程度では、まだそこまでの信頼を置くことはできませんでした。つまり数話読み進める中で、作者への信頼を感じ取るか、感じ取れずに脱落するか、という二択が依然残っている、という状況でした。(私だけですかね…)

2話~6話を見た

 残念ながら2話以降は無料では見られなかったので、DMMで買って見ることにしました。(ポイント還元があったので)

 この作品のジャンルに一番近いのは「ミステリー」かな、と私は思います。いわゆる使い捨ての登場人物は少なく、登場人物たちがそれぞれの時間軸で関係し合う群像劇が展開されていました。「変人しかいない」という前評判はその通りで、特に私のお気に入りは北埋川先生になりました。太陽くんのガチロリ度は、自称ロリコンもドン引きするくらい真に迫ったもので、名演だと思います() 特にしおちゃんの手をとってコリコリするところ(語彙力不足)が最高に気持ち悪かったです()

 監禁のために外鍵をつけるシーンは、北九州監禁殺人事件を想起させます。こちらも凄惨な事件ですが、監禁のための外から南京錠を何個もつける、という手法を思い出しました。(こちらは物理的な拘束よりもマインドコントロールに焦点があたっている事件です。)

 ぱっと見は日常系ほのぼのアニメを想起させますが、ストーリーは少しずつ動いていて、それだけでも作者への信頼は少しづつ高まってきましたが、5話で崩れかけました。さとうに対して一気に覚めてしまい「なめてんのかこいつ?」と思いましたが、6話でどうにか私の作者への信頼は保たれました。しょうこちゃんとあさひのおねショタイチャラブ展開を信じて…というのはさておき、6話の引きが素晴らしかったです。嫌な予感しかしなかったですが。。

7話~11話まで見た

 そろそろネタバレなしでいろいろ書くのが大変になってきました。(本当は飽きてきました

 ここからは本当にノンストップで見ました。7話は作者渾身の罠と言えばよいのでしょうか、読者が本当にハラハラする仕掛けが用意されていたと思います。登場するキャラも狂気に満ちていて素敵です。

 私の好きな話は7話、9話、12話です。全部しょうこちゃんが出てきますね! アニメの12話(つまり最終話)は当時の原作を追い越しており、原作勢も初見だったと聞きました。アニメと原作は過程が多少異なるものの、結末は同じになるように作られた、とのことでした。私はアニメも見て原作も読んだ今これを書いていますが、どちらの展開も好きです。しょうこちゃん…

 「作者への信頼」という話で言えば、9話でMAXに達した後、10話でガクンと下がりました。下がった理由は、今でも個人的に納得がいっていないので、ずっと考え続けています。アニメ全話を通じて個人的に全く納得がいかないところが2つあって、一つは5話、もう一つは10話です。あくまで個人的な些細なもので、それを加味しても作品全体の構成は素晴らしいと思っています。

 私は、この作品が素晴らしいものだと判断した時点で、即円盤を購入するつもりでした。しかし11話まで読んだとき、まだその判断はできていませんでした。「愛とは何か」という問いかけに対する答えは、私の中にも、作品の中でも表れていませんでした。つまり12話、最終話の最後を見届けなければならない、そんな気持ちがどんどん高まっていきました。もう最初の監禁がどうのこうのという興味はどこかへすっ飛んでいて、「愛を知りたい」「最後まで見れば愛を教えてくれるのか?」という一心になっていました。

12話(最終話)の心地よい読後感

 最後のしおちゃんの言葉を聞いたとき、「愛とは何か」という問いかけに対する答えを与えてくれた気がしました。正確には答えではなく、言葉にもできないものだと思いましたが、私が最も望んでいた結末だったと思います。最終話を見終わった後、直ちに円盤を購入しました。当然、作者への信頼は揺るぎないものとなりました。

 結末については、どこかのアンケートで納得する8割、納得しない2割だったような気がします。全員が納得するような結末というのは存在し得ないと思いますが、私の読後感は、少なくともその瞬間は最高に心地よかったです。

 全体として、この結末に向かうための構成は非常に完成度の高いものだと思いました。当時は原作を読んでいませんでしたが、アニメとしての完成度は高く、また原作を読んだ今も改めてそう思います。

最後に

 疑問点や腑に落ちないところ、感情的にやるせなくなる展開などはたくさんありますが、それらを考え続けていると頭がおかしくなりそうになるので、ほどほどにしておかなければならないと思いつつ、4周目視聴や原作、公式ファンブック、感想サイト等を読み漁っているところです。「こういうお話だから」で済ませればそれでよいところだとは思いますが、好きな作品は自分の納得のいくまで考え抜きたい、という気持ちもあります。そういう意味では、ハッピーシュガーライフは「読者への宿題」が非常に多い作品だなあとも思います。私はそういう作品が大好きです。本当にこの作品に出会えてよかったと、心から思います。

 演者にも恵まれていると思います。特にEDテーマと挿入歌を歌われたReoNaさんは、歌唱力もさることながら、作品への愛に溢れていて、本当にこの方が関わってよかったなあと思います。(ので紹介)

 

 鍵空とみやき先生をはじめ、この作品に関わっていただいた全ての方に、本当にありがとうございましたと、伝えたいです。そして私はハッピーシュガーライフという作品をさらに理解するために、もうしばらく考えて続けたいと思っています。

 最後に、しょうこちゃんとあさひのおねショタイチャラブストーリーを願って…じゃなくて、ここまで読んでいただいてありがとうございました。